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そのまま預宅家庭で引き続き養育された元里子が現在も生駒市高山に50人以上も居る。これは地元が副業としている茶筅や竹器製造が安易に修業出来、場所があまり取らないため、小規模な予算工賃で暮しを立て、独立して結婚、子どもが出来、家族として生活するようになったのである。ある人は、現在、市会議員や自治会長等をしている人も居り、私達にはうらやましい程、資産を作った人も居る。
戦後、法律が変り、児童も人として尊ばれ、児童福祉法が制定され、初めて、恵まれない児童には、国及び地方公共団体が育成することになった。荒木大将の来村から数年が経っていたが、本当に、実現したと私は感動した。
その後、私は何気なく、奈良県吉野郡十津川村を訪ねた。そして、その村の記念館を見学するうち、見覚えのある軍刀を見つけた。かつて、私が軍隊入隊直後に、「荒木大将が君の家に行かれるから、三日間の外泊の許可を出すから失礼のない様、お世話してくれ」と帰され、その時お会いした際、この軍刀は、天皇陛下の御下賜であることを聴いていたので確かめたところ、1年前に、十津川の旅館で亡くなられたので、記念に置いたものであるという説明であった。

 

 

 

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